品質(Quality)

神戸製鋼、日産、スバル…ここの所、連日、品質問題が報道されている。

 

「品質なんかずっと前から蔑ろにされている」「ルールの方が現実に合っていないんだ」という意見も見かけるが、まぁ、そういう人が多くなれば、ルール軽視、品質軽視になるんだろう。

信号を守らない社会人の歩行者、自転車、ドライバを見かけるが、日常のルールを軽視している人が、会社のルールを尊重するかも怪しいもので。

 

少し、言いたい事から外れたので、話を少し戻そう。

 

モノづくりの現場では、よく「QCD」という言葉が出てくる。

 

Q…Quality、C…Cost、D…Delivery

 

この中でCost(費用)とDelivery(納期)は、意味は明確で、数値でも表されるので非常にはっきりしている。

しかしQualityは何かあいまいだ。

「品質じゃないか!」と思いきや、人によっては、性能や機能、利便性(ユーザビリティ)まで「Q」に含めて話をする人がいる。そうして、そうしたものは数字に表れにくい。

 

そんな状態で、「QCDは守らなければならない」と言われる。

 

「納期厳守だ」と言われれば、残業したり、増員したりして納期までの作業量を増やすことで対応するだろう。

 

「経費削減!予算オーバーはまかりならん!」と言われれば、部材を安く調達したり(仕入れ先を変えたり、部品自体を安いものに変えたり)、仕事を効率化して(?)残業を減らしたり、いろんなモノをケチったり、、、。

 

「品質第一だ!」と言うのは「売れるものを作れ!」と言っているものに近い。

・性能の高いものを作る。

・こんな機能を持っている。

・使い勝手が良い。

こういったものは、他人の人にもアピールしやすいだろう。しかし、

・壊れないモノを作る。

・基準に合うモノを作る。

というのは、会社の内部の人間にも、一般のユーザーにもアピール力が低いだろう。そんな事は当然だという認識もあるのではないか?

でも、そういったモノには、それなりのコストがかかる事(かけないといけない事)を多くの人が蔑ろにしている。(忘れているのかもしれない)

 

さて、何が言いたいのかと言うと、まず、「Q」は純粋にQuality(品質)を示す言葉にすべきという事。

モノを作るときに、達すべき品質基準を規定する事が大事である。

性能や、機能性は「P」…Performanceや「F」…Functinalityのような言葉で分けるべき。

 

なので、「QCD」ではなく、「QCDPF」の様に製品として満たすべき基準を明確にすべきであろう。

そして、「Q」(=品質)に重きを置き、それなりのCostを掛けるべき。

 

・・・

 

というのは正論であるが、正論を通すと、必ずどこかに矛盾が出てくる。

 

売れる価格帯は決まっているので、掛けられる費用は決まっている。品質にコストを掛ければ、他に掛けるコストを下げないといけない。

下げられないとなると、労働者にしわ寄せが寄ってくる。

 

納期も基本的にずらせないだろう。

品質=信頼と言うようなことも言われているが、納期を守れない会社はそれこそ信頼をなくしてしまう。

納期を伸ばしたとしても、その分、固定費・人件費は増えるだけだし、他社の競争に負ける可能性も増えるので、よい事は何もない。

 

じゃあ、どうするか?

 

・・・

 

「見えない所(表に見えにくい所)を削れないか?」という悪魔のささやきが聞こえてくる。

そう、品質にかかわる部分や検査の手を抜いてしまえと。

そこに一旦手を染めてしまうと、もう、抜け出せなくなるのに。

一度、コストを掛けなくても良い、楽ができると体験した人間、企業が、あえてコストのかかる、苦労するところに戻る事は非常に困難だろう。

 

大企業になると、部門が分かれてしまい、品質部門が独立していると、目が行き届かないのかもしれない。

個人や小さい会社だと、自分たちの作っている物の品質は身に染みて分かるのだろうけど、部門からの報告だけ聞いている経営者や会社責任者はどうなんだろうか?

 

「そもそも、品質の高いものを作っているのだから、多少いいじゃないか?」という考えは非常に危うい。

人の作るものだから、必ず、間違いはある。それが誤って世間に出ない様に、自社で定めた検査や、国や自治体が定めた検査やルールがある。そういったものは、長年の経験などに基づいているので、軽視する事は危険。

でも、あまりにも無駄な部分や、時代に合わない部分も出てくるだろう。そういったモノは、変更しても問題のない事を業界・自治体と議論の上変えていくべきで、自社で勝手に解釈をかえてはならない。

そういうのは、「事故を起こさないから、赤信号や一時停止を無視しても問題ない」という考えに近い。ルールを守っていてさえ事故は発生し、ルールを守らなければ、事故の発生の危険性は必ず上がるという事を改めて認識する必要がある。

 

そして、ユーザー側も、価格ばかり重視するのではなく、品質に掛かるコストを再認識すべきである。

 

「ブランド物は品質が高い」のではなく、「品質が高い物がブランドとなる」である。

 

2017年10月27日